妊娠が判明すると、働いている女性は自身の産休や育休について必然的に考える必要性が出てきます。実際、女性の育休取得率は2007年から現在に至るまで8割程度と多くの女性が出産時に育休や産休を取得しています

 

共働きを続ける意思があったり、実家に頼ることなく出産子育てを迎える予定だったりする場合、男性側にも育休を取得してもらいたいもの。しかし、夫に「うちは取れないから」と言い切られてしまったり、何となく言い出しづらい雰囲気を感じていたりする女性もいるのではないでしょうか。

 

男性育休は、単に女性が「楽をするため」にあるわけではありません。基礎知識や取得のメリットを、まず女性が知ってみませんか?

 

「うちも取れるの?」男性の育休に関する基礎知識

男性の育休に関する基礎知識

男性の育休取得率は2018年時点で6.16%。上昇傾向にありながらも、まだまだ一部の人に限られているのが現状です。男性や職場の価値観がアップデートされていないケースのほか、そもそも正しい知識を認識していない可能性もあります。まずは、育休制度について改めて正しい知識を身につけましょう。

 

「うちの会社には制度がない」は間違い

 

「育休を取ってほしい」とお願いした際、「うちの会社では取れない」「制度が整っていないから」と夫に返されてしまうと、困惑したり、悲しい思いを抱いたりしてしまいますよね。この「制度がない」は誤り。育休は国が定めている制度のため、社則や福利厚生の上にきます。本来は、「取りたい人が取れる権利」なのですね。

 

しかし、人員がギリギリのために育休取得に対応できない職場があるのも現実です。「結婚や妊娠を機に退職するのがふつう」といった会社があるのと同様、特に男性に対しては「え、取ったことがある人なんていないよ」という風土の会社も未だにあるのです。

妻の就労の有無と男性育休の可否は関係ない

 

男性の育休は、働きたい女性を支えるために設けられている制度ではありません。妻が専業主婦であったとしても、男性には育休を取得する権利があります

 

正社員以外でも育休は取得できる

 

男女問わず、育休は非正規雇用の場合でも条件を満たしていれば取得可能です。

 

<非正規雇用者の育休取得条件>

  • 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
  • 子どもが1歳以降も雇用が継続される見通しであること
  • 週に3日以上の勤務

妻の産休中に夫が休業した場合は2度目の育休取得も可能

 

妻の産休期間中、つまり産後8週間以内に夫が育休を取得した場合、特別な事情がなくても2度目の育休を取得できます。条件は、一度目の育休を産後8週間以内に終えていること。出産直後の大変な時期に一度取得し、予防接種や保育園探しで忙しくなる後半にもう一度取得するなど、家庭の事情に合わせた取得が可能です。

 

男性が育休を取得する3つのメリット

男性が育休を取得するメリット

男性が育休を取得することで夫婦にも大きなメリットがあります。やみくもに「あなたも育休を取って」と伝えるだけでは、いまいちスムーズに話が進まない……。そんな男性に理解してもらうためにも、育休取得のメリットを把握しておきましょう。

 

1.産後の女性にかかる負担を分かち合える

 

ひとつ目のメリットは、産後の女性にかかる負担の軽減です。安産であったとしても、出産は母体に大きなダメージを与えています。その状態からノンストップで始まる育児は、心身共に大きな負担になるもの。頑張りすぎた結果、産後うつを発症してしまう女性もいます。夫婦で協力し合い乗り越えることは、双方にとって大きなメリットになるでしょう。

 

2.質の高い育休は夫婦幸福度向上に繋がる

 

ママ向けアプリ「ママリ」の調査によると、育休をうまく活用できた夫婦は、夫婦幸福度が向上しているとの結果が出ました。良好な夫婦関係の維持は、男性側にも大きなメリットがありますよね。

 

3.両親の育休取得で育休期間が延びる!「パパ・ママ育休プラス」

 

制度上にも男性育休取得のメリットがあります。「パパ・ママ育休プラス」と呼ばれるこの制度は、夫婦がそれぞれ育休を取得することで、本来ならば子どもが1歳までである育休期間が2ヵ月上乗せされるものです。取得は夫婦バラバラ・同時のいずれも可能。なお、女性の育休開始が男性の育休開始日より前であることが適用条件です。

 

男性が育休を取得するときの3つの注意点

男性が育休を取得するときの注意点

育休は男女問わず取得できる権利です。しかし、男性が取得するには女性とは異なる注意点があります。

 

1.男性に「育休を取りづらい」雰囲気があることを理解する

 

出産後も育休を経て職場復帰する女性が増えたこともあり、女性の育休取得に対しては「取るもの」とする雰囲気が作られてきました。しかし、男性の育休取得に対する雰囲気はまだまだそこまでできあがっていません

 

「奥さんが取るんでしょ?」「実家には頼れないの?」といった価値観がベースにある職場も未だにあります。制度上「取れる」としておきながらも、男性が取ることを前提に人員配置を考えていない職場も少なくありません。

 

厚労省が発表しているデータでは、男性の35.3%が「育休を取得したかったができなかった」と回答しています。取得できなかった主な理由は、「会社で育児休業制度が整備されていなかった」「育児休業を取得しづらい雰囲気だった」「業務が繁忙で職場の人手が不足していた」。

 

保険会社が調査したデータでは、男性の育休の取りやすさについて、82.68%が「取りにくい」「どちらかというと取りにくい」と回答した結果も出ています。

 

女性の場合は、育休を取得しづらい雰囲気があっても、退職を迫ってはならない、育休を取らせなければならないと認識されるようになってきました。しかし、男性の場合はまだまだ会社の雰囲気が社会の変化に追いついていない場合があることを、まず知っておきましょう。

 

2.キャリアに影響が及ぶこともある

 

パタハラ」という言葉を聞いたことはありますか?パタハラとは、パタニティ・ハラスメントの略。パタニティとはPaternity(父性)を指し、男性の育休取得に対して上司・会社から行われるハラスメントを意味しています。

 

育休取得を拒むほか、育休取得を受け入れたものの、その後に不当な異動や降格の決定を出すといったことが挙げられます。取得を願い出た際に異動や降格をちらつかせられるケースもあるのです。

 

Twitterで妻側がパタハラの実態についてツイートした事例もあり、見かけたことがある人もいるでしょう。パタハラ含め、産育休を理由に不当な扱いをすることは厚労省が禁止しています。しかし、だからといってキャリアがしっかりと守られると言いきれないのが現状です。

 

3.夫婦間の意識の違いによってマイナスに働いてしまうこともある

 

無事に育休が取得できても、夫婦間の意識が大きく異なっていたためにかえってマイナスになってしまうケースもあります。取得した男性が、育休を「休業」ではなく「休暇」と捉えているかのような過ごし方をしてしまい、取得実態がただの休日になっているケースがあるのです。

 

ママ向けアプリ「ママリ」の調査では、育休を取得した男性3人に1人が「1日あたりの家事育児時間が2時間以下」との結果も出ています。これでは女性の負担が軽減されるどころか、ストレスが増えて夫婦関係に亀裂が入ってしまい兼ねませんね。

 

また、男性側に主体性がなく、何でも妻に聞かなければわからないといった不満も出ています。こうした事態は、会社から自動的に「〇日間は育休を与える」とされた場合に特に起こりやすいでしょう。男性本人の意識が「休めてラッキー」止まりになってしまいやすいためですね。

 

育休を「取って良かった」と思える期間にするためにできること

育休を取って良かったと思えるために

せっかく育休を取得できても、かえって夫婦関係がマイナスになってしまうのは何とももったいない話です。「取って良かった」と思える期間にするためには何ができるでしょうか。

 

1.メリット・デメリットの確認をしておく

 

男性の育休取得によるメリット・デメリットをお互いに把握し、取得の意思をあらかじめ確認しておきましょう。

「会社側から取れと言われたから数日取っただけ」「妻に言われたから取得しただけ」といった理由での育休取得は、結局ただの休みになってしまいストレスにしかならなくなる可能性があります。また、パタハラが起きた際に「取れと言われたから取っただけだ」と責任を押し付けられる可能性も。

 

妻が一方的に取得を促すのではなく、夫婦で話し合ってどう出産後の育児に向き合うのかを考えましょう

2.出産前に知識を身に着けよう

 

出産後の母体の心身の変化、家事や育児の知識をあらかじめ身に着けておくことも大切です。主体的に男性が取り組めるよう、意識作りを行っておきたいものですね。

 

注意しておきたいのは、一方的な押し付けにしないこと。ふだん女性が家事をメインで担っている場合、自分のやり方と夫のやり方との違いにストレスを感じることもあるでしょう。しかし、実際には「必ずこうしてもらわなければ困る」ものばかりではなく、落としどころを付けられるものもあるはずです。

育休、取るor取らない?夫婦で話し合ってみよう

育休は夫婦で話し合おう

夫婦の形は十人十色。「今どきの夫は育休を取得するのが当たり前」としてしまうのは、いささか乱暴といっていいでしょう。男性として、父親としてどうあるべきかではなく、「私たち夫婦として、どの選択がベターか」について話し合うことが大切です。答えがないのは、その後の育児も同じこと。育休取得を、夫婦で話し合ういい機会と捉えたいですね。

 

女性側からいきなり切り出しにくかったり、素直に受け取ってもらえなかそうだったりする男性には、同じ男性が発信している情報を入口にしてもらうこともひとつの手。自分たちの選択を決める参考にもなるのではないでしょうか。