結婚をする前に同棲をしようかと考えるカップルは多いものです。
好きな人と同じ部屋に帰れる、デートのときに終電を気にする必要がないなど、同棲をすることで得られる幸せがあることも事実です。結婚前に一緒に暮らせる相手かどうかを確認する手段にもなるでしょう。
そんな同棲は、はじめるときにさまざまな手続きが必要です。その中のひとつが住民票を移すこと。住民票を移すときには、誰が世帯主になるのかを決めなくてはいけません。
そこで今回は、同棲カップルの世帯主の決め方から世帯主になることのメリットまでをご紹介します。手続きをする際に参考にしてくださいね。
同棲カップルの世帯主の決め方3つのパターン
そもそも、世帯主とはどういった意味なのでしょうか。生計を共にする集まりのことを「世帯」と呼び、世帯主は主にその世帯の生計を維持している者のことを指します。
同棲をはじめるカップルの世帯主の決め方は3種類あります。3つのパターンを詳しく見ていきましょう。
①住民票を同棲するアパートに移し、二人とも世帯主となるパターン
ひとつ目は、二人がそれぞれ世帯主になるパターンです。
同棲していても生計を別にしているカップルが多く、その場合は世帯は別と扱ってOK。世帯が別であれば世帯主はそれぞれになるので、同棲するアパートに住民票を移したうえで、二人別々に世帯主にしましょう。同棲中であれば世帯主が二人同じ住所に住んでいても問題ありません。
世帯を別にする場合は、住民票を移動する際、新世帯主の氏名欄に自分の名前を記入しましょう。
②住民票を同棲するアパートに移し、一人を「未届の妻(夫)」または「同居人」とするパターン
ふたつ目が、どちらかが世帯主となり、もう一人を「未届の妻または夫」もしくは「同居人」とするパターンです。
結婚前でも住民票を二人で1枚にすることが可能。このパターンでは、生計を一にしていると認識されるため、健康保険や公的年金の扶養対象にできるというメリットがあります。
ただし、住民票に記載されるため、同棲していることは書類を見たら分かってしまいます。周りに同棲を公にしたくないという方は避けた方がいいでしょう。
③住民票をどちらか一人のみ移すパターン
3つ目が、住民票をどちらか一人のみ移すパターンです。実家に住民票を置いている方の中には、相手にだけ住民票を移してもらおうかと考えている人も多いのではないでしょうか。
しかしながら、住民票を移すことは法律で義務付けられており、住民基本台帳法で次のように定められています。
①転入や転居をした場合は、14日以内に届出を出さなくてはいけない
②正当な理由がなく規定による届出をしない者は、5万円以下の過料に処する
また、会社から家賃補助をもらっている方もいるでしょう。同棲部屋に引っ越すことで、住宅手当の条件に当てはまる方もいるはずです。
ただし、世帯主であることを条件として定めている企業が多いため、世帯主になっていなければ受け取れないことがあります。会社の規定をよく確認しておくといいでしょう。
住民票を移さないことで、5万円以下の罰則を払わなければいけなくなったり、家賃補助を受け取れなかったりする可能性があるため、この方法はあまりおすすめできません。
それぞれが世帯主になるメリットはあるの?
3つのパターンがありますが、多く選択されているおすすめのパターンは一番目です。続いては最初のパターンとして紹介した二人がそれぞれ世帯主になることのメリット・デメリットを見ていきましょう。
同棲は基本的に、それぞれが世帯主になるメリットの方が大きいといわれています。ここから具体的に紹介します。
メリット
①二人とも住宅手当が受け取れる
まずは、二人とも住宅手当が受け取れるというメリットです。
手当が互いに会社から出ている場合、それぞれが世帯主になることで補助を受けられるでしょう。先ほど紹介した通り、世帯主であることを条件にしている企業がほとんどなので、世帯を分けておいた方がお得です。
②郵便が別で届く
役所からの郵便が世帯主それぞれに届くこともメリットといえます。
同一世帯にした場合、役所などから届く郵便物はすべて世帯主宛てに届きます。「同居人」または「未届けの妻(夫)」の場合、自分に関わる郵便も世帯主の名前で届くため、開けにくさを感じる人が多いのです。
③同棲していることが会社にバレない
世帯を分けていれば、同棲していることがバレないというメリットもあります。
結婚するまで同棲を周りに公表したくないという人もいるでしょう。公的な書類を見ても相手の名前が書いてある部分はないので、会社に提出する書類も安心です。
デメリット
もちろん、デメリットも存在します。
それは、婚姻届を提出して晴れて夫婦になった際、同一世帯にするために「世帯合併届」を提出する手間がかかることです。
婚姻届を出したときに自動的に同一世帯にしてもらえたらいいのですが、「別居婚」を選択する夫婦もいるため、婚姻届と同時に自動的に手続きはされないのです。
住んでいるところの役所に婚姻届を提出する場合、世帯合併届も併せて手続きが可能。ただし、住んでいるところ以外の役所に婚姻届を提出する場合は、住民票がある場所に世帯合併届を出す必要があるので注意しましょう。
世帯主になると税金に影響はある?
では、それぞれが世帯主になった場合、税金に影響はあるのでしょうか。
二人が世帯を別にしている場合、税金に影響はありません。また、同じ世帯にしても続柄を「同居人」にしている場合も影響はないといえます。
ただし、続柄が事実婚を表す「未届の妻(夫)」の場合は扶養対象になるため、世帯主の相手が勤める企業の健康保険に被扶養者として加入できます。扶養に入る場合は収入の制限があるため、手続き前にしっかりチェックすることをおすすめします!
同棲するときにしなければいけない手続きって?
最後に、同棲をはじめるときにしなければいけない手続きについてもお話します。
①住民票を移す
まずは住民票を移すことです。
同棲部屋が今住んでいる場所と同じ市・同じ区であれば、「転居届」を出すだけで移動は完了です。
もし市外・区外へ引っ越す場合は、元々住んでいた場所の役所に「転出届」を出し、受け取った転出証明書を引越し先の役所に持っていき、「転入届」を提出しましょう。
②職場にて変更手続きをする
同棲部屋に引っ越した場合、職場に提出してある住所も変更する必要があります。
なぜなら、会社が税金、社会保険料の手続きを代行しているから。住所によって住民税の納付先が異なるなど、変更手続きを行なっていないとトラブルに発展してしまうので注意しましょう。
また、勤務先が家賃補助などの住宅手当を支給している場合、引っ越した際は新しい住民票の提出をお願いされる可能性が高いといえます。
③クレジットカードや免許証の住所を変更する
使用しているクレジットカードや免許証の住所も変更しなければいけません。
クレジットカードの明細をWeb上で確認する方が多いため、住所変更を忘れてしまいがち。しかし、更新時期を迎えたときに新しいカードが届く際、住所変更を忘れていたら受け取れません。
また、免許証の住所変更を怠った場合は、運転免許証の更新のお知らせのハガキが手元に届かない可能性があります。更新期限を忘れて免許失効につながってしまうので注意したいところです。
④ガス・電気・インターネットの手続き
ガスや電気、インターネットは、引っ越し前の住居で止める手続きをし、引っ越し先で新たに開通手続きを行なう必要があります。忘れてしまうと、引っ越し初日に電気なし生活を送ることになるため、早めに手続きを済ませておきましょう。
話し合って手続きをスムーズに進めて!
結婚前の同棲段階では、世帯主はそれぞれにしておいた方がメリットが大きいでしょう。
同棲する際には、住民票の移動だけではなく他にもさまざまな手続きが必要。パートナーと話し合って手続きをスムーズに進めていってくださいね。