好きで結婚したとはいえ、他人同士が家族になることは簡単ではありません。時には「この人とは一緒にやっていける自信がないかも」と感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、たとえ夫のことが無理だと思っても、カッとなってすぐに離婚を突きつけるのではなく、冷静に考えてみる必要があります。今後の生活はどうするのか、本当に離婚をしたいのか、じっくり自分の気持ちと向き合ってみましょう。
本記事では、夫と離婚したいと思ったときに立ち止まって考えたいことと、本格的に離婚へと進めるときの準備についてお伝えします。
夫と離婚したいと感じた10の理由別考えたいこと
まずは、夫のどんなところがきっかけで「離婚したい」と感じたのか考えていきましょう。理由別に「立ち止まってできる対処法」がないかもご紹介します。自分が本当に相手と離婚したいと思っているのか、じっくり気持ちを確かめて結論を出すのをおすすめします。
価値観が合わない
大きな原因のひとつが、価値観が合わないことです。一緒に暮らしてから価値観の違いが浮き彫りになり、離婚を考える女性は多いものです。
とはいえ、価値観がまるごと一致する相手はいません。お互いに譲り合って受け入れて暮らしていく必要があります。
無理にわかり合おうとするとよりつらい気持ちになってしまいます。まずは「人間は誰しも分かり合えない部分がある」と思ってみましょう。
さらにどうしても受け入れがたいことがあるようなら、話し合いの場を設けます。それでも折り合いがつかなければ離婚を考えてみてください。
生理的に受け付けない
あれほど好きだったのに、何かのタイミングを境に「夫から触れられたくない」「生理的に受け付けない」という気持ちになってしまうのが結婚の怖いところ。
もし夫婦生活においてスキンシップやドキドキすることを重視しているのであれば、離婚を考えることをおすすめします。
しかし、スキンシップは控えて夫を家族として大切にするというのもひとつの手です。まだ相手を大切にしたい気持ちが残っているなら、恋愛のドキドキは置いておいて割り切ってみてはいかがでしょう。
夫の親族と合わない
結婚は夫と二人でするものではなく、相手の両親や親戚とも家族になるということです。夫の親族と合わないことは結婚生活において相当なストレスになりますよね。
まずは夫に正直に伝え、親族との付き合いは最低限にできないか相談してみましょう。
それでも夫があなたに寄り添って解決してくれないのであれば、離婚を考えてもいいかもしれません。
思いやりがない
結婚後は、付き合っている間には見えてこなかった本性が見えてくるものです。付き合っている間は優しかったのに、結婚した途端思いやりがない言動が増えたという声はよく耳にします。
あまりにも言動が耐えられないようであれば、夫と一度話し合うことをおすすめします。
相手の不貞行為
相手の不貞行為は、心が傷つくうえに夫への信用もなくなってしまいますよね。あなたが夫のことをもう一度信じてあげる気持ちがあるのか、裏切りに対して許せない気持ちが強いのか、じっくり考えてみましょう。
許す気持ちがあれば、条件付きで結婚生活を継続し、許せないのであれば離婚の準備を進めるのがおすすめです。
モラルハラスメント
夫があなたに対してモラルハラスメントをするようであれば、一刻も早く逃げるべきです。夫であっても、あなたの人間性を否定する権利はありません。
否定され続け、今後あなたひとりでの生活を立て直すときに悪影響を及ぼしてしまう可能性があるので、早めに結論を出したほうがいいでしょう。
話し合いで解決する相手であればいいですが、モラハラをしている本人は考え方が染み付いているので自覚したり、行動を変えたりするのはなかなかむずかしいもの。耐えるではなく、逃げるという選択肢を持っておくことをおすすめします。
金銭感覚が合わない
一緒に生活をしていくうえで、お互いの金銭感覚を理解し合えるかは重要です。お付き合いする段階では許せたことも、財布を一緒にすることで気になり始めてしまいますよね。
お金の使い方については、一度家族会議などで話し合うといいでしょう。「ここまでは許せるライン」という基準を双方で共有し合うことが大切です。
子育て方針の相違
子育て方針の相違で夫に対してイライラしてしまうという女性は意外と多いもの。子どもが生まれる前に話し合いの場を持てるのが最善策ですが、生まれるまではなかなか話さないことですよね。
ですが、子育て方針が違うからとすぐに離婚してしまうのではなく、これも話し合うことが大切です。
「私はこう考えているけど、あなたの意見は?」「あなたのこの考えには賛同できないから〇〇(妥協案)はどう?」という形で建設的な話し合いをしてみることで、少しは歩み寄れるはずですよ。
家庭での役割を放棄した
家族というものは、二人の努力があってこそ成り立つものです。どちらかが責任を放棄すると、もう一方にしわ寄せがいきます。
たとえば家事や育児は二人で協力して行なうもの。「俺は仕事をしてやっているのだから、家事も育児も協力しない」という考え方では、お互いやっていけません。
役割を夫に放棄されている場合は、まずはやんわりと伝えてみることが大切。それでも放棄し続けるのであれば、真剣にじっくりと意見を伝える機会を設けましょう。それでも改めないようなら、離婚の準備を進めて後悔はしないでしょう。
家庭内暴力
家庭内暴力は今すぐに解決すべき問題です。離婚をするかじっくり考えるのではなく、すぐに離婚の準備を始めましょう。
「夫は優しいときもあるから」と甘えてはダメ。まずは自分の心身が何よりも大切です。暴力を振るう人はいつまで経っても変わりません。
夫との離婚を決意したときに考えるべきこと
夫との離婚をしようと決意したら、その後の生活について考える必要があります。
フルタイムで働いている場合は問題ありませんが、専業主婦やパート勤務の場合は、自分が生きていけるお金を稼げる仕事を探しましょう。同時に新居探しも始めるのがマストです。
子どもがいない場合
子どもがいない場合は、財産分与・家のローンを中心にどうするかについて考えましょう。
財産分与とは、婚姻期間中に築いた財産を2人で平等に分けることをいいます。預貯金・土地・不動産・株式・年金などが財産分与の対象になります。明らかに結婚前に取得した財産や資産については財産分与にならないケースもあります。
財産分与は離婚後2年までは請求できますが、早く決めておくに越したことはありません。
もし住宅ローンを組んでいる場合は、残債をどちらが負担するのか、住んでいる家をどうするかも考えておきましょう。
子どもがいる場合
子どもがいる場合は、上記の内容に加えて子どもの養育についても考えなくてはいけません。
主に考えるべきなのは、親権のこと・面会権のこと・養育費のことです。
未成年の子どもがいる場合、子どもの親権をどちらが持つかを決めなければ離婚ができません。どちらが親権を持つのかも事前に考え決めておくことが必要な項目です。
あとから「言ってない」と逃げられないためにも、決めたことはすべて文書で残しておくのがマストです。
慰謝料を請求したい場合
慰謝料の伴う離婚の場合は、この点についても考えておく必要があります。
慰謝料の請求額は、離婚の理由によって大きく異なります。不貞行為によって離婚する場合は200万円~300万円、DVによって離婚する場合は100万円~300万円、モラルハラスメントで離婚する場合は50万円~300万円が相場だといわれています。
慰謝料請求には証拠が必要になるので、離婚を決意したら証拠をしっかり残しておくことをおすすめします。また、慰謝料をもらうケースになると夫と交渉を進めるのに大きなストレスを一定期間感じることになるため、早めに専門家の弁護士をたてるのもおすすめです。
夫と離婚するの3つの方法
自分の中でよく考えた上で本当に離婚を決意して進めるのであれば、3つの方法があります。いざというときのために知識として持っておくといいでしょう。
協議離婚
ひとつ目は協議離婚。本人同士で話し合って離婚する方法です。
協議離婚が一番お金も時間もかからないので、価値観の不一致など当人同士が納得しやすい理由の離婚であれば、この方法を選ぶことをおすすめします。
協議離婚の場合には養育費や慰謝料が双方の合意によってのみ定められる状況になってしまうため、離婚に際して取り決めがある場合は必ず書面にしておきましょう。
調停離婚
ふたつ目は調停離婚です。夫婦間で話し合いが成立しない場合は、調停離婚へと移行します。
調停離婚は、家庭裁判所において裁判官または調停官と共に、2名の調停委員が話し合いに立ち合う方法です。中立な立場である調停委員がそれぞれから言い分を聞き取って話し合いを進めてくれます。
誰でも申し立てが可能なので、当人同士の話し合いでは埒が開かなくなってしまう場合には調停離婚にしましょう。
裁判離婚
3つ目が裁判離婚です。協議離婚・調停離婚で成立しなかった場合は、裁判離婚になります。
裁判離婚は離婚訴訟を起こし、裁判所が判決を下す方法で、裁判を起こすには法的に認められた離婚の理由が必要です。裁判離婚では片方が離婚を拒否していても、正当な理由があれば離婚を裁判所で決議してもらうことができます。
夫と離婚をしたいときに準備すべきこと
離婚する方法と一緒に、本格的な離婚へ向けた準備も必要です。
経済的に自立をする準備
現在、夫が働いた給料で生活しているのであれば、離婚前に経済的に自立をする準備を進めることがマストです。勢いで離婚するのではなく、職を探してから離婚することをおすすめします。
また、職の確保と同時に住まいの確保もマストです。収入がないと住まいは審査が通りにくい場合もあるので、可能であれば周囲に手助けをしてもらえると良いでしょう。
離婚後にもらえるお金を確認
慰謝料や財産分与など、離婚する際にはもらえるお金があります。経済的に余裕を持っておくためにも、離婚後にもらえるお金を確認しておくといいでしょう。養育費を支払ってもらう場合は、その金額も把握しておきましょう。
また、シングルマザーとして子どもを育てていくのであれば、児童扶養手当などといった公的支援制度を存分に活用することをおすすめします。
離婚協議中にもらえるお金を確認
離婚協議中に別居をしていた場合や夫が生活費を渡してくれなくなった場合などには、婚姻費用を法的に請求することができます。
婚姻費用とは、夫婦や家族が通常生活を送るためのお金で、結婚している限り夫婦の収入に応じて分担義務があります。
離婚したいと思ったときは一度落ち着いて考えてみよう
離婚したいと思ってもそのときの勢いで行動してしまうのではなく、一度落ち着いて考え直すことが大切です。
一緒に住んでいると、呆れることや怒りを感じることが起こるでしょう。しかし、感情をありのまま夫にぶつけてしまうのはNG。冷静に話し合いをしてお互いの考えを理解し合い、歩み寄ってみることをおすすめします。
もし冷静になって考えても離婚がしたいと思うのであれば、離婚に向けた準備を水面下でしっかり進めていきましょう。