SNSやWebメディア、テレビ番組などでも目にする機会が多くなった「ワンオペ育児」。どういったものか知っていますか?

 

本記事では、ワンオペ育児のしんどさの原因、どう対処していくと少しでも楽になるのかについて、実際にワンオペ育児の経験のある筆者の体験も織り交ぜながらご紹介します。

「ワンオペ育児」とは

不機嫌な子供

ワンオペ育児の「ワンオペ」は、「ワンオペレーション」の略語です。ワンオペレーションとは、ひとりで作業すべてを行うことを指します。つまり、ワンオペ育児とは、子育て・家事を一人きりでこなさねばならない家庭の状況のこと。

 

共働き夫婦が増えている現状、子育て・家事・仕事をひとりでこなすワンオペ育児の人も増えています。また、まだまだ家事育児の負担は女性に偏りがちなケースが多く、ワンオペ育児をこなす人の多くは母親です

ワンオペ育児を感じる3つのケース

ワンオペ育児のケース

ワンオペ育児にならざるを得ない背景には、さまざまなケースがあります。以下では、代表的な3つのケースについて紹介します。

ケース1:専業主婦から共働き家庭になるも、状況が変わらない

ひとつ目は、妻が働き始めたにも関わらず、夫が家事育児に参加しないままといったケースです。

 

現代の社会では、妻と夫の役割として妻が家事育児を担い、夫が稼ぎ手を担う分担で回している家庭が多いでしょう。しかし、現在では、子どもが成長するに従い、専業主婦から勤めに出始めたり、産育休から復帰してフルタイム勤務に戻ったりする女性も増えているもの。

 

家事育児を担っていた側に、「仕事」という新たな負担が増えた場合、家事育児をそのままひとりで担い続けるのは負担が生じます。しかし、相手はそのまま変わらず任せっきりになってしまうためワンオペ育児に至ってしまうのです。

 

ちなみに、ワンオペ育児は「家事育児のひとり負担」であり、家事育児に関わっている人(主に母親)が仕事をしているのか否かは関係ありません

ケース2:育児どころか自分のことも夫が専業主婦の妻任せ

ふたつ目は、「そもそも自分のことすらしない夫」のケースです。見出しには専業主婦とありますが、こちらもひとつ目の事例のように、共働きであるにも関わらず、家のことはおろか自分の世話すらも妻任せといった夫もいます。

 

特に多く見られるのが、結婚直後に妻が夫の世話を焼いていたら、そのままそれが「当たり前のもの」として夫に定着してしまったケースです。筆者の周囲には、「明日着ていくスーツを自分で出さない(アイロンも妻任せ)」「おかずをレンジで温めることすらしない」といった夫たちがいます。「産んだはずのない大きな長男」と愚痴られるのが、こうした夫たちです。

 

こうした夫の場合、子育てが開始されると、当たり前のようにワンオペへと移行してしまいがちな傾向があります。「自分の役割は働いて収入を稼いでくるのみ。家のなかのことは自分がやることではない」と捉えてしまっているためです。

 

ケース3:夫が家にいる間も協力せずにひとり育児状態

三つ目は、「夫がいるときも自分ひとりで家事育児のすべてを担わなければならない状況」のケースです。

 

共働き夫婦、専業主婦家庭ともに、夫の仕事によっては、平日に家事育児を分担してもらうことが困難なケースもあるでしょう。しかし、文字通り「やれることを、やれる範囲で」となり、結果的に「ほぼ何もしてもらえない」ことは珍しくないのではないでしょうか。

 

こうした夫婦間では「平日は仕事で多忙だから仕方ない」という受容であり諦めの言葉が交わされることも。しかし、それはあくまでも「平日は」。平日には現実的に不可能な分、休日には双方で負担を追うべきです。

 

しかし、いざ休日、夫は寝ているかスマホをいじっているかだけ。「子どもを見ておいて」と頼んでも、「ながら育児」で子どもの危機管理意識が希薄で心配……。と結局、妻が全部担わざるを得ない状況が生まれます。

 

「大人がもうひとりいるのに、結局動くのはひとり」のワンオペ育児は、精神的なストレスも大きいものです。

 

「ワンオペ育児」のつらさ、どう解消する?5つの対処法

ワンオペ育児

さまざまな要因があるワンオペ育児。「耐える」一択で乗り切るのは、ストレスや疲労の面でもおすすめできません。では、どうすれば少しでもつらさを緩和できるでしょうか。5つの対処法を紹介します。

対処法1.夫との協力体制を構築する

ひとつ目は、パートナーである夫との協力体制の構築です。育休からの復帰や、専業主婦からパート、フルタイム勤務への復帰の場合、夫は単に「負担の偏りに気付いていないだけ」であるケースもあります。お互いの状況を開示し、うまく協力できる体制を築けるのがベストです。

 

伝える際のポイントは、いきなり頭ごなしに責め立てるような言い方をしないこと。「このままだと限界だから、負担を分散したい」と伝えましょう。

対処法2.誰か話せる大人を見つける

 

二つ目は、「誰か話せる大人を見つける」こと。ベストはひとつ目に紹介した夫との協力体制の構築です。話し相手も、夫との関係性が良好であれば新たに探さずに済むでしょう。しかし、「どうがんばっても夫が変わってくれない」ケースもあるもの。また、話す内容によっては、夫以外の人の方が楽しく話せることもあるでしょう。

 

家事育児の愚痴だけではなく、趣味の話や取り留めのない雑談は、気持ちをすっきりできるものです。今はLINEやオンラインツールがさまざまあるため、家にいながらリフレッシュすることもできるでしょう。

 

実家の親や姉妹、友達の他、筆者には保健センターの担当保健師さんも話し相手のひとりでした。自分から「聞いてほしい」とアクションを起こすのに高いハードルを感じる人もいると思います。しかし、その一歩を乗り越えた先に、新たな繋がりを得られることもあるのです。

 

対処法3.リアルが難しければSNSを活用する

 

身近に話せる家族や友人がいない人は、インターネットを利用するのもひとつの手です。Twitterには子どもの月齢を記したママ・パパアカウントがたくさんありますし、写真や絵が趣味の方はInstagramを利用してもいいでしょう。

 

ワンオペ育児になっている原因が夫の非協力の場合はもちろん、やむを得ずワンオペ育児にならざるを得ない状況の夫婦の場合も、夫には話しづらいと感じることもあるのではないでしょうか。

 

筆者は、「夫を責めたいわけではないけれど、どう伝え方を工夫しても夫が責められているように捉えて機嫌を損ねてしまう」ことから、しんどさを打ち明けられなくなった時期がありました。

 

また、単純に「そこまで深刻ではないけれど、誰かに愚痴って楽になりたい」気分になるときも。同じ母親同士だからこそ「わかるー!」と盛り上がれることもありますよね。そして、その「わかる」「しんどいよね」「お互いがんばってるよね」のやり取りに救われることも。

 

また、積極的に誰かとコミュニケーションを取るのが苦手でも、文字にしてワンオペ育児のつらさを吐き出すだけでストレスの発散になるものです。なお、SNSを利用する場合は、内容や写真から自分や子どもの個人情報が筒抜けにならないように気を付けましょう。

 

対処法4.気軽にできる「好き」を大事にする

四つ目は、自分の「好き」を大事にすること。特に乳幼児期は、どうしても意識のすべてが育児と家事に向いてしまうものです。なかなか寝ないタイプの赤ちゃんの場合、育児で家事すらままならず、一日何をしていたのか記憶に残らないような日々を過ごしている人もいるでしょう。

 

ワンオペ育児の場合、育児と家事から意識を切り離すのは、なおさら難しいものです。そんな状況下で「好き」を大事にと言われても、「無理!」と思うかもしれません。しかし、「好き」は自分が自分でいられるための手段です。たとえ短時間であったとしても、「好き」を守ることは自分のメンタルを守ることにも繋がりますよ。

 

筆者は読書が趣味ですが、産後は小説を読むことが難しくなり、もっぱら漫画を読んでいました。抱っこ紐で寝かしつけながら立ち読みし、感情の矛先を赤ちゃんから漫画に向けていたことも。「自分の楽しみを守る」ことは、広い目で見れば子どものためにもなるものです。

 

また、散歩がしやすい天気の日は、外に出てしまうこともオススメ。家の中にいると、つい子どもにばかり意識が向いてしまい、「寝てくれた!」と思ってもリフレッシュより家事に目を向けてしまう……。

 

そんな方ほど、物理的に家のことをやれない外に出ちゃいましょう。「家事を済ませたいのに子どもが寝てくれない!」とイライラを募らせてしまうことも防げますよ。また、子どもの意識も母親以外に向けられため、息の詰まった雰囲気が軽減できます。筆者もよく使っていた手段です。

対処法5.物理的なしんどさには取り入れられる支援・サービスの利用も検討をする

五つ目は、支援・サービスの利用の検討です。家事育児のしんどさには、精神的なものと物理的なものとがあります。このうち、物理的なしんどさは、夫との分担が叶わない場合であっても、外部の力を借りることで軽減可能。たとえば、乾燥機付き洗濯機や食洗機、ルンバなどのお掃除ロボットは、家事負担の軽減に繋がります。

 

抵抗感がなければ、家事代行サービスの利用もいいですし、育児支援センターでの託児依頼も選択肢のひとつです。これらのサービスは、民間のものだけではなく各自治体で提供、紹介しているものもあるため、一度相談してみても良いでしょう。筆者は保健師さんに電話をした際、「調べるのも大変だと思うので、資料をお持ちしますね」と言ってもらえて助かった経験があります。

 

実際に利用するかどうかはさておき、まず選択肢として「いざというときには、こういった支援がある」と知っておくだけでも、心が軽くなりますよ。

 

ワンオペ育児は夫が戦力にならないからこそ起こる状態ですが、そもそも「家庭内だけで育児を完結させなければならない」意識がしんどさの根本です。パンパンに張り詰めた風船が割れないよう、何らかの手段で空気を抜く意識を持つことから始めてみてくださいね。

 

妻にワンオペ育児を強いる男性かは事前にわかる?

ワンオペ育児を強いない男性

SNSなどネットで見聞きするのが、「そもそも、ワンオペ育児をさせるような夫を選んだ妻が悪い」論説です。

 

確かに、ワンオペ育児を強要しがちな夫は存在するでしょう。これまで自分のことや家事の一切を母親に任せてきたような男性のなかには、結婚後に母親の役割を妻に担ってもらうことを当然のものとして考えている人もいるものです。

 

ただ、付き合っている時期には一切出さなかった顔を結婚後に出すケースもあり、結婚前に確実に見抜くことは困難でしょう。ワンオペ育児で苦しむことになったのは、自分のせいだと思い詰めないようにしたいものです。

 

ワンオペ育児のあなたは頑張っています

人によって、キャパシティには違いがあります。また、頼れる実家の有無や夫の協力体制、仕事の有無や子どものタイプによってもワンオペ育児の大変さは変わります。外野が「あなたのワンオペ育児はしんどくないでしょ?」と無責任に判断できるものではないのです。

 

「あの人はもっとがんばっているのに、わたしがしんどいなんて言えない」「全然頑張れていない気がする」と人と比べることは、かえって自分を追い詰めてしまいます。

 

大丈夫。あなたは頑張っています。うまく手を抜いたり気分転換を図ったりし、今回紹介した対処法を取り入れながら日々を乗り越えていきましょうね。